JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
お客様からの先日いただいた質問に、大使館などの外国公館等から工事などの仕事を受けた場合に、消費税の扱いはどうなるのか、というものがありました。
そこで今回のブログではこの件に関し、簡単に説明をしてみたいと思います。
以前に数回に分けて説明したように、消費税というのは、基本的に日本国内で行われた消費活動に関して課せられるものです。
つまり、ここで問題になるのは、外国公館等を、日本国内にあると解釈するのかどうか、ということになります。
大使館などのことをしばしば「日本国内にある外国」と表現することがあることを連想していただけば、何となくイメージは浮かぶことと思います。
実は、税法上は租税特別措置法第86条第1項において、「大使館、公使館、領事館その他これらに類する外国政府等の機関で(中略)日本国政府が認める機関」(以下、「大使館等」)に対する課税資産の譲渡等は、消費税の免税取引とすることとされています。
つまり日本国内から国外への課税資産の譲渡等として輸出と同様の取扱いをするというわけです。
ただし、大使館等を相手に仕事をすれば、それが全て消費税免税の対象になるわけではありません。
免税の適用を受けようとする事業者はあらかじめ、「外国の大使館等又は大使等に対して免税で課税資産の譲渡等ができる事業者」、すなわち「免税指定店舗」の指定を外務省を通じ国税庁長官から受ける必要があります。
この指定を受けていない場合には、それは免税取引としては認められません。
あくまで日本国内で行われた通常の課税資産の譲渡等に該当するものとして、消費税の計算上は課税取引として取扱われます。
仮に、大使館等からの支払に消費税が加算されずとも、事業者の側はそれを税込価格として処理するのです。
また、指定を受けて「免税指定店舗」になっても、それだけで免税処理をすることが税法上で認められるというわけではありません。
指定を受けるというのがまず最初の前提条件で、その上で「免税指定店舗」は自らが行った課税資産の譲渡等が確かに大使館等又は大使等を相手にした取引であり、「外交、領事その他の任務を遂行するために必要なもの」に該当するということの証明をしなければなりません。
取引内容により若干の差異はありますが、「免税指定店舗」は大使館等との免税取引ごとに先方から「外国公館等用免税購入表」等の発行を受け、これを保存することでその証明、証拠書類とします。
つまり、いくら帳簿にそのように記載していようとも、公的な証明書がない限りは免税を認められないのです。
税務調査などの際に証拠を求められた時にはこの書類を調査官に提示することになりますので、紛失などせぬようにしっかりと保管をしてください。