JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
例えば日本とアメリカとの間で、著作権などの使用であったり人的役務の提供などが行われる取引を考えてみましょう。
二国間の取引において課税上問題になるのは、その収益がどちらの国に帰属するのかです。
つまり、俗な言い方をしてしまうのであれば、その取引の結果として生じる金銭に対してどちらの国が税金を得るのかといことですね。
アメリカの著作権を日本で使うケースだと、その使用料から利益を手にするのは米国人、しかしながらその著作権が使われた場所、すなわち利益が生じた場所は日本になります。
そういった点を踏まえて考えてみると、どちらの国にもこの所得に対して課税するもっともな理屈がつくことが分かります。
とはいえ、ここで双方の主張が対立してしまってお互いに一歩も引かないようになっては、議論が感情的になってしまう恐れもあり、どちらにとっても良いことはありません。
利害調整を行う必要があります。
これは国家間の問題ですから、当然、一方の国家が一方的に課税を決めたら、それこそ大変な事態になりかねません。
そこでルールとして決められたのが、「使用地主義」という原則的な取扱いです。
これにより二国間取引においては、権利などの使用地の属する国がその対価から源泉所得税という形で一定の税金を得ることになります。
日本における源泉徴収税率は20%で、復興特別所得税を含めれば20.42%。
相手国、つまり支払を受ける者の属する国は利益や売上に対して税額を算出し、そこから使用地国で徴収された税金を、例えば「外国税額控除」のような形で減額するという流れとなるわけです。
さて、原則はそのような形であるとしても、それと違う取扱いを望む国もあるわけで、当然そのような場合には原則と異なる個別の取扱いを定める必要がでてきます。
そこで、両者によって協議が行われます。
つまり、国と国との正式な取り決めである二国間条約が締結されることになるわけです。
税金に関する条約ですので「租税条約」。
正式には「所得に対する租税に関する二重課税の回避及び脱税の防止のために締結される条約」という名前になります。
その結果、例えばどういったことになるのかは、また次回にご説明させていただきます。