JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
前回のエントリで。我々が消費税と読んでいるものが実は2種類に分けられるという話をしました。
すなわち、「消費税」と「地方消費税」です。
現行の消費税率である8%と、今年の10月になって10%に増税された後の軽減税率の8%では、同じ8%であっても大きな違いがあるということを、予告通りに説明します。
端的にいえば、消費税の計算方法により、両者に違いが生じることになるのです。
例えば1,000円の品物を購入したとして、これに課せられる消費税等の合計額1,080円を最初に納付税額として算出して、しかる後にこれを消費税と地方消費税に按分していくという計算方法であるならば、納付する税額の合計は80円で変わりません。
しかし、実際に消費税の税額計算をする際に行われるのは、次のような手順になります。
最初に税抜金額に国税である消費税の税率を乗じることで納めるべき税額を計算したのち、その消費税(国税)の税額(100円未満切捨)と地方消費税(地方税)との比率を用いて、納めるべき地方消費税の納付税額を算出します。
現在の税率は 国:地方=6.3:1.7 になっているので、算式としては、税抜の対価の額に一度 6.3/100 を乗じることで算出された税額(100円未満切捨)に17/63 を乗じて地方消費税を算出するわけです。
これが故に、納付税額の差異が生じるのです。
具体例を用いて、従来の8%と軽減税率の8%で計算とその結果の納付税額がどう変わるのかを示してみると、分かりやすくご理解いただけるでしょう。
算出税額の違いを分かりやすくするために、ここでは敢えて綺麗な数字は使わずに、1,166,400円(税込)という課税標準を用いることで説明をしたいと思います。
<対価額の8%相当額>
1,166,400×8/108=86,400
<従来の8%の場合>
(国税)
1,166,400×6.3/108≒68,000(100未満切捨)
(地方税)
68,000×1.7÷6.3≒18,300(100未満切捨)
(納付税額)
68,000+18,300=86,300
<軽減税率の8%の場合>
(国税)
1,166,400×6.24/108≒67,300(100未満切捨)
(地方税)
67,300×1.76÷6.24≒18,900(100未満切捨)
(納付税額)
67,300+18,900=86,200
納付税額が明らかに異なっていることが、お分かりいただけるのではないかと思います。
これで何が面倒になるのかという話ですが、消費税の納税義務者が会計ソフトを使って申告書を作成し納付をしているのであれば、区分の処理を間違えるようなことさえなければ、会計処理と税額計算だけでに限定すれば、さほどややこしくはならないかもしれません。
ただ、税理士試験の受験生が手計算で税額を算出しなければならないような場合は、別です。
正直、底意地の悪い問題を作ろうと思えば、いくらでも捻くれた設問ができる状況であり、これから消費税を受けようとする受験生には頑張ってくださいとしか言えません。