JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
年末も近くなってきましたので、2020年の税制改正に関して所得税関係で注意すべき点を、簡単に説明いたします。
所得税の計算(算出)を行うに当たっては、その納税者に関する諸々の状況を踏まえて各種の所得控除が行われることになっています。
皆さんもよくご存じのところで言うならば、扶養家族がいらっしゃる場合に適用される配偶者控除や扶養控除といったものから、生命保険の年間の支払額に応じて一定額が控除される保険料控除や地震保険料控除といったものです。
他にも、例えば本人、配偶者、扶養者が障害者である場合の障碍者控除や、一定の寄付を行った場合の寄附金控除等、所得控除には複数の種類が存在します。
これ等は敢えて単純な説明をするならば、独身で病気などのない独り暮らしの人よりも、基礎的な生活を送るために要する費用が多くなると考えられる所得者に対しては、特別な控除を設けようという考え方や、まさかの時に備えて保険を付保する場合にその一部については課税を免除しようという考え方から設けられているものです。
あるいは、福祉的な観点や政策的な観点から設けられた制度と言っても、いいかもしれません。
そんな所得控除の各項目の中から、平成2年度に改正されることになった寡夫(寡夫)控除を今回は採り上げます。
これまでの所得税では、その所得者が男性なのか女性なのか、つまり「寡夫」か「寡婦」かでその控除に差が存在することが指摘されていました。
それ以外にも、法的な婚姻関係が存在しない事実婚の場合に所得控除が適用されないこと、シングルマザーやシングルファーザーでも婚姻歴が無い場合には適用が無いこと、寡婦については一定の扶養親族等がいれば自身の所得がどれだけあっても適用されること、等の問題が従来の制度には存在していました。
これが令和2年度から改正されたわけですが、細かい説明をあれこれと書いていくよりも、表でお見せした方が明確に理解できるでしょう。
婚姻歴のない場合でも控除が適用される「ひとり親控除」が創設されたことと、合計所得500万円超は控除されない制限ができたことが、お分かりいただけるでしょう。
この改正により、昨年までは控除を受けていた人が受けられなくなることがあり得ますし、その逆に控除を受けられていなかった人が控除を受けられるようになるということもありますので、年末調整の時などには、その点に、十分な注意が必要となってきます。