JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
国境をまたいだ「技術等の使用料」の課税関係がどうなるのかという質問を、先日顧問先の社長から受け、お答えしました。
その際に、「国内源泉所得に該当するから源泉所得税を納付しなければいけない」という説明をする中で、補足事項としてお話ししたことについて、今回は書きたいと思います。
非居住者や外国法人との取引の課税関係は、以前に2回に分けて書いているので、ここでは申し訳ありませんが割愛いたします。
hirabayashikaikei.hatenadiary.jp
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今回の本題の、補足が必要になったという言葉は、上記文中2カ所に出てくる「源泉」についてです。
「国内源泉所得」と「源泉所得税」の2つとも「源泉」という言葉を使っていますが、これを英語にすると前者は「withholding」で後者は「source」となり、両者は明確に意味合いが異なることが推察されます。
ここで「源泉」という用語の意味を説明すると、「みなもと」と「いずみ」という漢字から成ること、そして「水源」という言葉を連想していただけばイメージは掴みやすいのではないでしょうか。
つまり税法で言うところの「源泉」というのは、「所得という水が湧き出てくる泉」、すなわち「所得の発生する大元」のことを指します。
これを踏まえたうえで上記2つの言葉の違いを説明させていただきます。
「国内源泉所得」は「国内」に「源泉」が存在する「所得」を指す言葉であり、「源泉所得税」は「源泉」から徴収される「所得税」を指すと考えていただければ、理解するのは難しくないと思います。
この、「存在する」と「徴収される」という部分の説明が、上記2つの用語からは抜け落ちている。
このことが、おそらくは誤解の生じる最大の原因になっています。
「源泉」と言われて一般に想像するのは、給与やバイト代、報酬から天引きされる「源泉徴収税」ではないでしょうか。
そのイメージで、「国内源泉所得」あるいはそれと対となる「国外源泉所得」を捉えると、「源泉所得税」のうち、国内の企業から徴収されるのが「国内源泉所得」であり、外国の企業から徴収されるのが「国外源泉所得」であるというような、誤った印象を持たれてしまうのでしょう。
「国内源泉所得」と「国外源泉所得」は、実際にはその所得が国内か国外のどちらで発生したかを示す言葉であり、法人税や所得税の課税対象か否かを判断する時等に用いる概念になります。
非居住者等への支払から「源泉所得税」を控除するのは、その支払が日本国の課税対象となる取引の対価である時に、非居住者等が日本での申告納付をするかが必ずしも保証されないことから、税収を担保する目的で行われるものです。
つまり、そもそもの立脚点が異なる話なのです。