三鷹の税理士 平林 達夫 の日記

三鷹にある平林会計事務所の税理士、平林達夫です。税金に関する疑問、不安、不明事項、法人税務や確定申告、相続、新規起業に関する相談など、いつでもお気軽にご連絡ください。当事務所では、初回相談料は無料とさせていただいております。詳しくは、リンクの欄にあるホームページ等をご覧ください。

飲食関係の消費税関係処理の注意点

JR中央線・総武線快速三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。

 

新型コロナウイルス感染症問題で売上が減少したことなどから、新たにテイクアウトやデリバリーのサービスを行った飲食店経営の方もいらっしゃるかと思います。
そこで今回は、これ等の業態に関して間違えやすい消費税の取扱いについて簡単に説明をします。

2019年10月に導入された軽減税率の対象となるのは、「飲食料品」と「定期購読の紙の新聞」の2種類であると決められています。
「飲食料品」というと、野菜や肉や米などの材料が頭に浮かぶかもしれません。
しかし実際には、ここには弁当などの加工品も含まれてきます。

店舗内での食事が前提の料理の提供は、軽減税率では無くて通常の標準税率10%が適用されます。

一方で、テイクアウトやデリバリー等、飲食スペースの提供が行われるわけではないものについては、軽減税率8%が適用されることになる、というわけですね。

ちなみに、ケータリングサービスの場合は店内で飲食をするわけではありませんが、スタッフによる配膳や給仕が行われるので、店内飲食に準じて標準税率10%となります。

店舗飲食は10%でそれ以外は軽減8%。
これが原則なのだと記憶してください。


なお、消費税については、簡易課税に係わる事業区分の問題もあります。

先程例に出した野菜や肉や米などの材料をそのまま販売するような場合であれば、相手が事業者ならば「卸売」なので第1種事業、個人ならば「小売り」なので第2種事業ですが、そこに「調理」という行為、特に「火」を使うような行為が介在してくると、話は別になります。
店舗での飲食の提供に関する事業区分は第4種と決められているのですけれども、持ち帰り、テイクアウトの場合には配膳等のサービスが伴わない為に、「火」を使った「加工」という扱いになるのです。
つまり、第3種という取り扱いになります。

ただ、ここで、ならば「10%の場合は第4種であり、軽減8%ならば第3種になる」ということかと思ってしまうと、それは認識としては誤りになってしまいます。
軽減税率対象か否かという税率の問題と、みなし仕入れ率がどれくらいになるかという簡易課税の事業区分の判断の問題は、全く異なる考え方によるものなのです。

事業区分が第4種か第3種かの判断は、その行為がどのような行為の延長なのか、つまり、本体になるものは何かによります。

持ち帰りやテイクアウトは「完成した料理をパッケージして販売している行為」なので「加工」として判断して第3種となります。

一方、出前、デリバリーの場合は、「その事業者が店内飲食設備を有する場合には店内飲食の延長上の行為」と考えられて第4種の扱い、「店内飲食設備を有さなければテイクアウトの延長上の行為」と考えられて第3種の扱い。

このように取り扱いが変わってきます。

簡易課税選択の飲食業者が行うデリバリー業務では、この点を間違った処理が多いようです。

この辺りは少しややこしいこともあるので、新しい形態の販売を始めようという時は、それが軽減税率の対象になるかならないか、簡易課税制度を選択している事業者の場合は事業区分が何種になるのか、ということを事前に税理士等の専門家かあるいは税務署等に確認しておくことを、お勧めさせていただきます。