JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
前回は10月の消費税法改正について、軽減税率制度が導入されることと、時限立法ではなく恒久的であること、そして軽減の対象になるものが「飲食料品」と「新聞」の2つであることを、改めて確認させていただきました。
今回の改正は2つの税率を併用する点で消費税法誕生以来の大改正と言われますが、今回、大きく変わるものがもう1つあります。
それが、インボイス制度の導入。
売上と仕入れに2つの税率が混入する場合、その両者が明確に区分されていなければ正確な税額計算をすることはできません。
それは、売上の側の消費税もそうですし、税額控除の対象となる仕入もそうです。
そこで、取引の内容を記述した証憑書類に、それが10%の8%の取引のいずれに該当するか記載されることが求められます。
具体的には請求書の形式の変更です。
もちろん請求書の書式自体は各発行者がそれぞれに自由に決めているわけですが、必ずこれは記載しなければならないという必須の事項というのは存在しますよね。
例えばそれは取引の行われた年月日であり、取引の相手先であり、取引の内容であり、取引の金額と言ったようなものになります。
そこに、各取引の税率表示等も付け加える、それも1つの請求書に10%取引と8%取引をそれぞれ明記するような形に変えなければいけないというのが、ざっくりとした改正内容になります。
この、消費税法改正による書式の変更ですが、従来の「請求書」に対して改正後のものを「適格請求書」と呼び、これを保存することが求められる改正消費税法における制度のことを「適格請求書等保存方式」と呼びます。
この改正後の新しい制度のことを通称して「インボイス制度」というのですけれども、ニュースでも多少取り上げられたりはしたので、聞いたことがあるという人もおられるでしょうか。
インボイスという言葉は、輸出入取引の時に通関手続で必要になる取引明細書というイメージを持つ人も多いかもしれませんね。
実際はインボイス(invoice)という英単語がそもそも請求書や納品書のことを指すので、輸出入の専門用語や用紙のことをいう言葉というわけでは無いのです。
ちなみに輸出入で通常必要になるのは、コマーシャル・インボイスと呼ばれる書類。
英語表記なら、Commercial Invoice です。
これは「商業送り状」等と訳されたりしますが、要するに「商売で使う価格等明細書」といった意味合いで考えていただけばいいでしょう。
今回の改正で導入されるインボイス制度のインボイスは、輸出入取引におけるそれが明細書というニュアンスが強いのに対して、請求書の性格が強いわけですけれども、取引の明細を記載するという点では同じです。
例えばこれまでの請求書と比べた場合にどのような違いが出てくるのかということは、次回に説明させていただきたいのですが、イメージとしては「明細書」の要素が強くなる、つまり消費税率が通常の10%である取引と軽減課税の8%が適用される取引との明細を記載しなければならなくなるのです。
ただし、今年の10月になったら即座に請求書の記載内容を変更しなければならないというわけでもありません。
その辺りのことも含めて、次回は掲載します。