JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
これまでに何回かにわたり、今年から大きな改正のあった相続税に関して、簡単な説明を書いてきました。
ちょっと時間がかかりましたが、相続税計算の基本的な考え方については主だったところを一通り終えたので、今回はそれとはちょっと視点を変えて、「相続の放棄」ということについて、ごく簡単ではありますが説明したいと思います。
被相続人が亡くなった際において遺言書等で遺志を示していない場合は、被相続人の相続人がその財産を引き継ぐことになります。
ここで気を付けていただきたいのは、相続人が被相続人から引き継ぐものは、プラスの財産だけでは無いということ。
「相続人は法律上の地位を承継する」というのが法律の規定なのですが、これは債権だけを指しているのでは無くて、債務をも含んでいるのです。
相続人は亡くなった人の一切の権利義務を承継する。
これが、原則です。
つまり、不動産や有価証券、預貯金といったプラスの財産を相続する際には、借入金や未払金といった債務の承継も、セットでついてくるということです。
プラスの財産だけもらいたいというのが人情というものでしょうけれども、さすがにそんな甘い話はありません。
マイナスの財産がプラスよりも多い。
あるいは、事情により相続を受けるつもりが無い。
こういった場合には、相続人としての地位を放棄するということも可能です。
これが、「相続の放棄」です。
放棄をしたい場合には被相続人の住所地を管轄する家庭裁判所への申請が必要で、「相続開始を知った日から3ヶ月以内」というのが提出期限となっています。
この、「知った日」というのがポイントで、「相続の開始した日」=「被相続人が亡くなった日」ではないということは覚えておいてください。
なお、相続人が自分しかいない状態で相続の放棄をした場合には、後順位の相続人が被相続人の財産債務を承継するということになります。
被相続人が多大な借金を残して亡くなってしまったというケースでは、被相続人が相続の放棄をすることが、意図せずして他の者に借金などの債務を押し付けることにもなりかねません。
ですので、あらかじめそういった親戚関係にも自分が相続の放棄をすることと、その人も放棄をした方がいいのではないかということ、等を伝えておいた方が、人間関係が不穏になることを防ぐ意味でもいいのではないかと思われます。