JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
ちょっと前に、このブログでも、相続の放棄という手続きについて簡単に説明をさせていただきました。
ここでポイントになるのは、相続放棄ができるのが「相続開始を知った日から3ヶ月以内」という規定になっていることなのですが、この「知った日」をどう考えるのかが、裁判などで問題になることがあります。
それで先日も面白い最高裁判所の判決が出ていたのですが、そこで争点となったのが、被相続人Aが残した借金を相続放棄するか否か相続人Bが熟慮中であった期間にそのBまでが亡くなった場合に、Bの財産の相続人であるCがBの相続放棄をする権利も引き継ぐケースにつき、「相続開始を知った日」をどう考えるのかです。
Aが祖父、Bが父、Cが子(Aにとっては孫)という事例だとすればイメージしやすいでしょうか。
このような事例を、「再転相続」と呼びます。
今回の事例で債権者側が3ヶ月の起算日となる「知った日」とは、Aに関する相続を知った日と主張したのに対し、Cの側はAが亡くなった当初はAの借金のことを知らず、Bが亡くなった段階で初めて知ったのだからそこから起算するべきだと主張していたのですが、これについて最高裁は、Cが債務の相続人であることを知った日から3ヶ月以内に放棄が行わればいいとして、Cの主張を認める判決を出したのです。
最高裁判所の判決ということは、これはすなわち司法による法律の条文解釈が示されたことで、以後はここで判示された取扱いが再転相続における相続放棄に関する定説になります。
納税者有利の結論が出されたわけですけれども、しかしまあ、この件に関して言うのであれば、常識的に考えていけばさすがに債権者が主張していることはCにとっては酷に過ぎるので、まず妥当なところで判決が示されたと思います。