JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
前回は、適格請求書発行事業者が発行した請求書以外の支出は消費税等の納付税額の計算上、仕入税額控除に使えなくなるということをご説明しました。
このことがどのような影響を及ぼすことになっていくのかですけれども、ここで大きなポイントになるのが、適格請求書発行事業者になる為の登録を申請することができるのが課税事業者だけであるということです。
理屈から考えればむしろこれは当然で、これまで免税事業者からの購入でも課税仕入として処理していたことの方が、おかしかったのだと言えるでしょう。
つまり、厳密には払ってもいない消費税を払ったものとして、売上時に預かった消費税から差引きを行っていたのですから。
この点に関して国税庁が昨年4月に作成したリーフレットがこちらです。
「消費税の仕入税額控除の方式として適格請求書保存方式が導入されます」
この件に関しては異論反論も出ていますが、現状はこのまま制度が適用されると考えておいたほうが無難だと思います。
このことから、令和4年10月以降には同じ仕事をする外注先が2社存在して、A社は課税事業者でB社は免税事業者というようなことがあった場合に、課税仕入にできないB社ではなくて、できるA社ばかりに仕事の発注がされることになることも考えられます。
もちろん、仕事の発注はそれまでの取引履歴や実績であったり、相手との人間関係でなされたりする面もあって、単純に課税事業者かそうでないかだけで決まるものではないのでしょうけれど、可能性としては、在り得ることです。
そうして売上先1つを失うくらいであれば、本来ならば免税事業者になれるところを敢えて課税事業者になるという選択肢を、選ぶというようなことも無い話ではないでしょう。
つまり、納税地を管轄する税務署に対し「課税事業所選択届出書」を出すと同時に、適格請求書発行事業者も申請するのです。
現在免税事業者として仕事をしている小規模な事業者については、これから令和4年までの間にこの件に関する対応をどうするかを考える必要があります。
すなわち、課税事業者になることによるメリットとデメリットをリストアップして、比較検討を行わなければなりません。
これは例えば2~3日くらいであっさりと考えを決められることではないでしょう。
となれば、今のこの段階からじっくりと時間をかけて考えていかなければならないのではないかと思えます。
可能であれば、税理士事務所などの専門家にご相談されることをお勧めします。
今年10月の消費税法改正については軽減税率の導入ばかりがクローズアップされていて、確かにそれは私たち個々人の生活に直結しても来ることですから仕方のない事でもあるのでしょうけれども、実は結構大きな改正事項でもある適格請求書発行事業者と仕入税額控除の話はほとんど話題になっていないようです。
そこが少し気になって仕方が無かったので、こうしてエントリ1回を使って説明しました。