JR中央線・総武線快速の三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。
以前に消費税課税の理屈を何回かに分けて記載していった際に、基準期間の課税売上が1,000万円以下である場合には、消費税の納税義務のない免税事業者になるということを説明しました。
例えば副業として不動産賃貸をしているような人の場合、そのほとんどが消費税非課税の居住用として貸し付けているのであれば、これを満たさず、免税事業者になることでしょう。
それは、マンションを複数棟所有していて年間の家賃収入が4,000~5,000万円になっているとしても、同じことです。
保有している不動産物件を、あくまで居住用として貸し付けている分には、それは消費税の課税売上にはなりませんから、それがいくらであったとしても、課税事業者にはなりません。
しかし、これには例外が存在します。
それが、賃貸借用として貸していた物件を売却した際の建物部分の売上額は、課税売上になってしまうということです。
例えば所有しているマンション1棟に対し非常に有利な条件の売却話が発生し、土地3,000万円、建物1,500万円の合計4,500万円で売却したような場合。
賃貸する部屋がほとんど居住用で非課税でも、この場合、その売却を行った年度については課税売上高が1,500万円あることになります。
つまり、その年が基準期間の事業年度(2年後)は、消費税の課税事業者となってしまうのです。
賃貸している物件の中に居住用以外の用途に使われているもの、例えば店舗や事務所等に使われているものがあると、この場合、納付しなければならない消費税が発生する可能性がでてきます。
また、特に注意しなければならないのは、課税事業者となってしまった年に別の所有物件の売却を行ってしまうと、課税売上高がその分だけ大きく増えるので、納付しなければならなくなる消費税もその分大きく増えることになるということです。
複数の賃借物件を保有している場合には、その点には気を付けなければなりません。
なお、個人事業者が自分が住んでいた物件、つまりマイホームを売却した場合については、「事業者が」「事業として」「対価を得て」「売却等」するという消費税の課税要件のうち、「事業として」を満たしていませんので、課税売上とはなりません。
ですから、今回説明したような、こういった問題は発生してきません。