三鷹の税理士 平林 達夫 の日記

三鷹にある平林会計事務所の税理士、平林達夫です。税金に関する疑問、不安、不明事項、法人税務や確定申告、相続、新規起業に関する相談など、いつでもお気軽にご連絡ください。当事務所では、初回相談料は無料とさせていただいております。詳しくは、リンクの欄にあるホームページ等をご覧ください。

祈祷料・お札 等の消費税

JR中央線総武線快速三鷹駅にて2022年4月開業予定である税理士事務所、平林会計事務所の税理士、平林です。

 

2021年も1週間が経過しました。
今年はコロナの感染拡大状況を考慮して自粛を選んだかもしれませんけれども、いつもの年であれば、このタイミングで仕事始めと共に会社の近くの神社に行って、現場や車両の事故が無いよう安全を祈願する、あるいは商売の繁盛を祈願するということをやられる事業者様もいらっしゃることでしょう。

そういった祈祷料・玉串料・初穂料について、会計処理をするにあたって間違えやすく気を付けなければいけないのが、消費税です。

消費税法は「事業者が」「事業として」「対価を得て行う」「資産の譲渡等」を行えば、その取引は消費税が課税されるものになると規定しています。

これに従えば、安全祈願に対して支払う祈祷料等は、消費税の課税取引だと思えるかもしれません。

しかし、消費税の取扱い上、祈祷料等は行為の対価の支払いとはされていません。

これは、国税庁が発表している質疑応答事例にも出ていることなのですけれども、祈祷料等は宗教法人等が行う宗教活動に対する支出、すなわち喜捨金、寄進として認識されていて、資産の譲渡等の対価とは見なされてはいません。
つまり、4要件のうち、対価性を満たさないので、消費税の課税の対象とはならないのです。


祈祷料や玉串料は消費税が不課税。

では、正月に神社に参拝をした際に発生するそれ以外の支出に関してはどうなのでしょう。


例えば、安全祈願等の際に購入するお札や、お守り、おみくじや破魔矢などについては明確に物品を購入しているので、対価性を満たして消費税の課税になりそうにも見えますよね。
しかしこれ等についても法人税基本通達15-1-10(2)において、宗教法人が行うこれ等の販売の場合は原価と売価との差額、すなわち通常の利益部分はその性格上、喜捨金とみなされるとしているために、祈祷料等と同様に対価性を有さないことから、消費税の課税取引とはなりません。
ただし、酉の市などで境内に出ている出店から熊手を購入したような場合、宗教法人以外の一般の事業者から購入したことになりますから、通常の「国内において事業者が行う物品の売買」に該当して、4要件を満たし、課税取引となります。

また、宗教法人が販売しているものであっても、一般の事業者も概ね同様の価格で販売しているカレンダー、絵葉書、写真帳、線香、ロウソク、供花といったような物品を参拝者等が購入した場合は、これは通常の物品販売業と同様に対価性を有し、消費税の4要件を満たして課税取引となります。


宗教法人に対する支出の税務会計については、ぱっと見では分かりにくいところも多々ありますので、また機会を見つけてここでも事例を挙げながら説明していけたらいいなと思っています。